デザインリフォーム実例05

撮影/森安 照

家族構成本人
専有面積約46㎡(約14坪)
住居形態マンション
住居購入年1995年
初回リフォーム時築年数築12年
施工長瀬工務店G.C.

 もともとインテリアに興味があったYさん。マンションを購入してからは自分で壁を塗ったりして、少しでも快適で気に入った空間になるよう工夫を重ねていました。
 そんなYさんがコマチ家具を最初に訪れたのは2004年。そのとき、インテリアデザイナーの田野口淳子とインテリアについて語り合い意気投合。その数ヶ月後には玄関や廊下、ワンルームだったLDKをリフォームして、キッチンを独立させました。
 さらにその2年後には洗面所とトイレ、2009年には和室とベランダ、そして2010年、ついに寝室もリフォームし、住まい全体が理想の空間に生まれ変わりました。少しずつリフォームしたことで仮住まいも必要なく、経済的にもできるときにコツコツとすすめられました。期間を置いたリフォームでしたが、インテリアデザイナーが最終形を見越してデザインしているため、統一感のあるインテリアに仕上がりました。「仕事から帰ってきて玄関に入った瞬間から、リラックスモードに切り替わるんです。毎日、自分の家にうっとりしています」とYさん。
 2013年、Yさん宅の歴史に新たな1ページが加わりました。最初のリフォームから約10年。エアコンを取りかえるタイミングで、リビング・ダイニングの壁紙を替えることにしたのです。既存の壁紙の上から張ったので、工事は1日で終了。「背景が変わると、同じ家具でも印象がかわりますね」。今のYさんらしさを表現したインテリアになりました。

よくあるマンションの玄関を、内装・家具・照明で見違える空間にリフォーム。白い腰壁とウィリアム・モリスの淡いブルーの壁紙で仕上げた内装に、靴箱として使っているアンティークキャビネットが映える贅沢な玄関です。

白い作りつけの収納家具とビニールクロスの壁の、シンプルな玄関ホール。
作りつけ収納家具を撤去してアンティークキャビネットを置き、収納を確保するために寝室のクローゼットのスペースを少し使って玄関から開けられる物入れにしました。ヴァセリンガラスのランプシェードがやさしい雰囲気。


以前は10畳のワンルームだったL.D.K。キッチンが丸見えになるのがいやで、Yさんは大きな食器棚をパーテーションがわりに置いてキッチンを隠していました。最初のリフォームでキッチンを独立させる壁をつくり、内装にはアンティーク家具が映える白い腰壁を採用、ボルドーの輸入壁紙を張りました。そしてその10年後に壁紙を張り替え、家具はそのままにお部屋をイメージチェンジさせました。

玄関ホールからダイニングに入るところ。ドアを開けた瞬間から時間の流れが変わり、「友人がよく遊びにくるようになって、一時は週末レストラン状態でした」というのもうなずけます。
壁紙を、テシードの「アンナフレンチ」というシリーズの壁紙に張り替え、インテリアがよりシックに変化しました。
自分で壁をダークブルーにペイントしていたという以前のL.D.K.。
テーマカラーをボルドーにし、白い腰壁を張ってアンティーク家具が映えるおしゃれな空間に仕上げました。LDは7畳くらいなのでソファは一人がけのみ。そのかわり、来客時には天板を引き出して伸ばせるドローリーフテーブルを採用し、ゲストといっしょにゆっくりワインを楽しみます。
ブラック&パープルの壁紙に合わせ、壁にかける絵もモダンなものに変えました。ミックススタイルの個性的なインテリアに。
ガラスシェードが美しい小ぶりなアンティークランプをいくつも灯して、陰影のある趣深いインテリアに。
カーテンや照明は以前のまま。カーテンに合う色柄の壁紙を選びました。
エアコンの室外機を自作のカバーで目隠ししていた、以前のベランダ。
ベランダから室内を見たところ。正面が、キッチンとダイニングを分けるために作った壁。天然石を張ってアクセントウォールに。
新しい壁紙は、アクセントウォールの天然石とも好相性。
キッチンの窓はマンションの外廊下に面しているため、以前はブラインドを開けられない状態でした。
キッチンの窓には、明るさやプライバシーを確保できるうえ、見ていて美しいアンティークステンドグラスの内窓をつけました。キッチンとダイニングの間に設けた壁にも、明かりとりのステンドグラスを。壁の下のカウンターは、キッチン側から使える収納スペースになっています。
ダイニングには収納と飾り棚を兼ねたアンティークのブックケースを。2つあるドアの右側は和室、左側は玄関~寝室へとつながります。
アンティーク家具のブックケースは同じものですが、背景の壁紙が変わるだけで見え方が変わります。アンティーク家具は一生使えるものなだけに、壁紙がそのときの自分を表現するためのアイテムになっています。
和室からリビングを見たところ。ゆったりとしたBGMとやさしい明かりに包まれて、この一人がけの椅子に座れば高級ホテルよりもくつろげる極上のリラックスタイムに。
壁紙に合わせ、一人掛けの椅子の張り地も変えました。まるで違う部屋のよう。


テレビを見る部屋として、また来客が宿泊する際のゲストルームとして使っている和室。リフォーム前も、和室に合うマホガニー材のアンティーク家具でコーディネートしていました。しかしYさんは、和風の壁の色がどうしても好きになれず、リフォームすることに。縁なしの畳に敷き変えて、畳の部屋の便利さはそのままに、ほかの部屋とのつながりも感じさせるインテリアに仕上げました。

以前の和室。窓には内障子がはめられていました。
壁を輸入紙クロス、天井は桐材を市松模様にしたクロスで仕上げ、畳と調和させながらモダンなインテリアに。内障子のかわりにアンティークステンドグラスの内窓をはめました。
部屋のコーナーにはアンティークランプをまとめて。やさしい明かりに照らされ、輸入壁紙の模様や質のよさが浮かび上がります。

以前は京壁風クロスが張られていた和室。
同じ家具を置いても、内装を整えることで雰囲気に大きな差が出ることがわかります。壁紙、家具、照明などの組み合わせによる相乗効果で、インテリアは何倍にも素敵になるという好例です。
お母様からプレゼントされたというパネルがお部屋にぴったり。ふすまも壁と同じクロスを張りました。
和室には、繊細なラインのマホガニー材のアンティーク家具が似合います。


約4.3畳のコンパクトな部屋に、シングルベッドと大きなたんす、さらにチェストやベッドサイドチェスト、小ぶりの椅子を置き、素敵で快適な部屋をつくる。そんな夢のようなことが実現した、寝室のコーディネートの妙。ポイントは「家具の配置&向き」と「壁紙の張り分け」です。

寝室の入り口から部屋の中を見て。壁とベッドの間は人が1人通れる程度。壁には家具を置くことはおろか、絵をかけても通行の邪魔になります。そこで、柄壁紙と無地の壁紙の張り分け位置を高くして上方にブラケットランプをつけ、何も置かなくてもバランスがとれるように工夫しました。
以前はDIYで壁をグリーンにペイントしていました。窓はマンションの外廊下に面しているため、いつもはカーテンを閉めたまま。
開けられない窓にシェードをかけてベッドの頭を窓に向け、そのベッドヘッドを飾るドレープカーテンを施して部屋の見せ場にしました。これにより、大きなたんすは一番広い壁に沿って置くことができました。
隅には小ぶりのチェストと椅子を置き、ドレッサーコーナーに。ブラケット照明をつけ、まるで素敵なホテルのようなシーンに。
もう1つのコーナーには、ベッドサイドチェストを。ベッドの両脇に50㎝程度のスペースを空けることは、ベッドメイキングなどのしやすさに影響するためとても大切。クローゼットの扉やケーシングなどの木部は、「ベンジャミンムーア」のペイントでラベンダー色に。

毎日使う水回りこそ、うっとりするような空間だったら……。それを体現しているのがYさんのお宅です。「特別ではない日常に、こんな幸せを感じられる。プロにデザインをお願いしてリフォームした甲斐を、毎日実感しています」とYさん。

壁や天井にガラスモザイクを贅沢に使ったパウダールーム。入り口のドアをはずしてカーテンをつけ、いつでもオープンに。見せたい、見ていたい洗面所です。
「かわいらしいカーテンの奥はフィッティングルーム?」と思ってしまいますが、洗面所の奥はユニットバスと洗濯機置き場。見せたくないものはカーテンで隠して。

トイレのドアには、洗面所の壁の色と同じアメジストのような色のアンティークステンドグラスをはめました。
トイレの内装は、大理石としっくいで空間の質を高めて。