デザインリフォーム実例07

撮影/森安 照

家族構成本人
専有面積65.9㎡(19.93坪)
住居形態マンション
住居購入年2007年
初回リフォーム時築年数築13年
リフォーム部分すべて(システムバス以外)

 物心がついたときから、ファッションとインテリアが大好きだったというKさん。今の中古マンションに引っ越すことになったときは、自分の好きなスタイルにリフォームしようと思いを巡らせていたそうです。
 そんな折、好きなアンティークの雑誌でコマチ家具の実例を見て、「これだ!」とピンときたというKさん。さっそくコマチ家具へ赴きました。アパレル関係のお仕事をしているKさんは、そのとき「私のことを知ってもらうため、私らしいファッションで行きました。インテリアデザイナーの田野口淳子さんが私の雰囲気を見て、インテリアはこんな感じが好きでしょう?と提案してくれるものが 、すべて“そうそう!”という感じ。初対面から意気投合して、依頼することにしました」。
 Kさん宅は大きな間取り変更はしなかったものの、和室を洋室のリビングに変え、インテリア全体をKさんらしい雰囲気に仕上げました。最初のリフォームから3年後には、単なる納戸だった部屋も素敵なドレッシングルームに。「ここでゆっくり洋服を選んで着替える時間が幸せなので、以前より1時間早く起きるようになりました」。大好きなものに囲まれた空間によって毎日がときめき、ライフスタイルまで前向きなゆとりが生まれました。


以前は、天井が低い一般的なマンションのしつらえだった玄関や廊下。それが、照明と壁紙を変えるだけで見違えるほど変わりました。特に、天井だけでなく壁面にブラケット(壁付け)照明をプラスしたことで、ドラマティックな雰囲気に仕上がりました。

一般的なマンションのシンプルな玄関でした。
ドアを開けた瞬間に、忙しい日常を忘れさせてくれるような空間。この奥に広がる住まいへの期待感がふくらみます。
天井高が2m10cmほどと低く、クランクした廊下は昼間でも薄暗い印象でした。
家具を置くスペースがない廊下は、壁面と照明のデザインが勝負。ダウンライトを小さなガラスシェードの照明に変え、輸入壁紙を張った壁には絵とブラケットランプをコーディネートして、陰影が美しい廊下に仕上げました。

以前、6畳の和室だった部屋を洋室のリビングにリフォームすることで、ゆったりとしたリビング・ダイニングになりました。小さな明かりが部屋に散りばめられ、まるでキャンドルがともっているかのような照明使いにも注目です。

廊下からダイニングを見て。白い壁とカーペット敷きのプレーンな空間でした。
新しくしつらえたステンドグラス入りのドアを開けると、洋書の1ページのようなダイニングルームが広がります。アンティーク家具は、女性的な印象のマホガニー材の家具で揃えています。

「仕事から帰ってきて、ダイニングでほっとする時間が一番好きです」とKさん。テーブルの上には、ミントンの食器が。


広い面積のある壁は、家具のボリューム感や配置のバランスがむずかしいところ。
パネルバックサイドボード、ブックケース、キャビネットを並べて、単調にならないように。右手奥に見えるカーテンは、キッチンの出入口です。梁の多い部屋ですが、一番高いところを天井として壁紙を張り分けることで、高さも感じられます。
以前は和室だった部屋。押入れや収納、窓には内障子がありました。
ダイニングと和室の間にあった襖戸をはずし、和室が木製の開口枠でフレーミングされたダイニングに続くリビングに変身。押入れをとってテレビスペースに、窓にはウッドシャターをつけました。

付け長押(なげし)があるだけの、シンプルな壁面の和室でした。
ロールアーム&猫足&紋ビロード張りのエレガントなロココ調ソファ、キャンドル形のブラケットライトと油絵、タブリーズという産地のめずらしい格子柄のじゅうたんというコーディネートで、ヨーロッパのシャトーを思わせるインテリアに。柱につけた2つのウォールスコンスがアクセント。

大型フラットテレビ周辺のインテリアコーディネートは最近の部屋づくりの新たな課題。今回は、ユニークなデザインのアンティークペンダントライトを2灯吊るすことで、雰囲気あるコーナーに仕上げました。
石のようにも見える光沢のあるリビングの壁紙と、クラシカルなキャンドル形ブラケットがぴったり。

素材や柄をミックスさせた個性的なファッションのKさん。そのKさんらしさを最もインテリアに反映させたのが、この寝室です。寝る前と目覚めのひととき、大好きなインテリアに囲まれる至福を、毎日味わっているそうです。

出窓が1箇所ある一般的なマンションの個室。
アイアンのベッド、ベッドヘッドのバックカーテン、シャンデリア、壁掛けのミラー。曲線を多用したデザインとさまざまな素材のハーモニーで、コンパクトでも個性的なベッドルームに。
大胆な色と柄の壁紙は、ウィリアム・モリスの「アーティチョーク」。アイアンベッドのポールのフィニアルもアーティチョークのモチーフです。
マンションの内廊下が見える出窓や、エアコンの室外機を置く小さなベランダへの出入り口は、目隠ししてプライバシーを確保したい窓。
ベッドのバックカーテンに布のドレープを使ったので、出窓は圧迫感が出ないように、アンティークステンドグラスの内窓をつけました。目隠ししつつ、ガラスの美しさを眺めていたくなる窓に。


最初は納戸としてリフォームせずに使っていた部屋。しかしお仕事柄、洋服が大好きなKさんは、この部屋にくるたびに、素敵になった他の部屋との落差でテンションが下がってしまっていたそう。思い切って追加のリフォームをすることで、「ここに何時間もいることがあるんです」という、お気に入りの空間になりました。

窓とクローゼットのある一般的な居室でした。
窓をふさいで大量の洋服をかけられるハンガーを設置し、カーテンで目隠し。Kさんがひと目ぼれしたというアンティークのオーク材のワードローブと照明、小ぶりな椅子を置いたことで、洋服を選んだり着替えたりする時間が優雅な気分になるドレッシングルームになりました。
建具は同じですが、白い壁紙が寒々しい印象。
エレガントなミラーとブラケット照明で、洋服のコーディネートに悩む時間がさらに楽しく。「小さな椅子は、ストッキングなどをはくときにとても便利です。洗濯物をしまったりする家事の時間さえ、この空間ではいい気分」とKさん。


コンパクトにまとまっているマンションの水まわりでは、壁紙と照明のデザインと、生活感のあるものを隠しつつ暮らしやすさも両立させる工夫がカギ。設備を新調しなくても、内装のリフォームで素敵に生まれ変わりました。

機能的ですが味気ない感じの洗面所。このままでは、ほかの部屋とのイメージが違いすぎてしまいます。
壁紙を張り替え、見せたくないものにカーテンをつけ、ダウンライトをガラスシェードの照明に変えただけで、あたたかみのあるパウダールームに。
収納は充実していたものの、こちらも味気ない感じのトイレ。来客も使う場所なので、少し気にかけたいところ。
壁紙と照明を変え、作り付け収納をとってアンティークのシェルフにつけかえて、ほっとできる空間に。